近藤史恵の「サクリファイス」、「エデン」に続く、第三弾。前二作に続いての「続編」ではなく、前二作の前後のそれぞれの登場人物のサブストーリー的内容。比較すると、サスペンスに無理強いすることもなく、またサイクルロードレースに対しての造詣の深さも嫌味なく描かれていて、非常に面白かった。
ただ、残念なのは装丁の写真。サクリファイスでは、「それっぽいけど、実はアマチュアレース」の写真(わかる人にはわかる)だったのが、エデンで、本物写真に昇格(シャバネルやら、コンタドールやら)していたのに、サヴァイブではまた「ノースリーブジャージでルート66ぽいところを孤独に走る男」になってしまっていて、せっかくの「サイクルロードレースもの」の雰囲気がぶち壊しなのだった。荒川を上半身裸で走っているおっさんと、一緒にされたくないのと同じだな(←違うと思う)。肖像権的に無理があったのかなあ、もったいない。
なでしこJAPANの優勝も見事であったが、マイナーな存在を表舞台に引き上げるには、やはり結果を出すしかないのかな。登場人物の一人が、世界選手権で8位になる話があったけど、アラシロの世界選手権9位ってリアルにすごいんだけどね。といって、メジャーになったらなったで、引いていってしまう気分もあるんだけど。スポンサーが絡んで、商業主義に乗せられかける話もあったりして、あ、これ以上は、言わないことにします。
面白いです。
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