栗原だより

11月12日

夕方に、二件まとめてプレゼンになってしまったので、櫂のお迎えを義母に頼んで、バタバタと仕事。プレゼン自体の感触は良かったので、よし。7時半前には帰宅。帰りついたときに灯りがついていて、誰かいる、というのは本当にほっとする。

実家の母の誕生日なので、先週出した手紙も届いたころだし、電話をする。同封した航と櫂の写真のこと、病状のことなど話す。遠く下関からは何もできないことを、すまなそうな様子だが、夏、最初にお前がしっかりしろ、と喝を入れられたことは、はっきり覚えている。やはり母は母だ。とにかく79歳おめでとう。こちらの方こそ、離れていて何もできないし、元気でいてくれることに感謝しなくては。

航は、今のまま調子が上がれば、今週末に、二回目の一時帰宅がかなうかも知れない。

11月10日

昨日買った貨物列車と、先日撮影した踏切DVD第二弾を持って、航指定の10時34分に到着すべく、9時前に出発。そろそろ北風ぴゅーぴゅー向かい風がきつい時季だが、36号は路線バスペーサーがついたり、向かい風には対抗したくなる性分だったりで、10時15分には到着。想定外に早かったので、ベッドの航は面食らっているようだった。

 

到着してスグに、貨物列車を走らせたくてプレイルームに行きたい、とせがまれる。まだ電池を仕込んでなかったので、裏返してみると、失敗、ドライバーが必要だった。ちょうど、エアコンのフィルター交換のおじさんたちが病室にやってきたので、あつかましくも聞いてみると快く持ってきてくれた、のだが、でかくて入らず。結局、下の売店で借りて無事電池を入れて、ついでにガリガリ君を買って戻る。航はそろそろ口が痛くて、食べ物がつらく、ガリガリ君は冷たくて痛みが無く食べられる数少ないものなのだ。食べてる間、DVDを鑑賞。所沢から、小田急、京急、世田谷線とバラエティに富んでいる内容に航も満足げだ。一生懸命撮影した甲斐があるぞ。

 

航は、足取りはおぼつかないものの、なんとか手すりをつかんで歩けるまでに体力も回復していて、点滴もつながっていないし、手をつないで、ゆっくり一歩ずつプレイルームへ。線路をつなぎ、貨物列車は持ってきた貨車二両以外にも病院のものをどんどんつなげて14両編成。新幹線より、貨物列車が好きなんだそうだ。なんか、力強く見えるのかな。

 

昼食後はお風呂。ワタシが入れるのは初めてで、なかなか疲れたが、本人はさっぱりして、気持ちよさそう。その後もまたプレイルーム。とにかく嬉しそうで、こちらも嬉しい。トイレに行くにも、歩いていけるようになったし、前回のぐったりした姿からは想像もつかない。回復に向かっているのだという、実感が最近はある。8月のあの日の感覚は、後にも先にもないであろう衝撃であることには間違いないのだが、少しずつ、過去のものへとなって行く、なって行ってほしい。

 

11月8日

昨日お願いした案件の進捗チェックが午前中に入っていて、中途半端に午前中に時間が余ってしまったので、ビデオカメラを持ち出して、移動がてら、踏切撮影。またまたDVDに落として持っていくのだ。櫂の生まれる前の産婦人科に通うのに由紀と航がよく通っていた上石神井の踏切、外苑のスペシャライズドのお店に行くときに航と一緒に通った小田急の代々木の踏切とか（この時はまだ前座席）。打ち合わせのあとも、京急の八ツ山橋踏切やら、帰りには、遮断棒のない踏切、世田谷線の若林踏切などを収録。

櫂は今日もおんぶされていて、微妙に機嫌が悪い。帰宅後の食欲もいつもの9割くらい。食後もなんとなく、甘え気味。それでも、風呂にいれて着替えたあとは、なんと自分から布団に向かい、横になって寝る体勢に。背中をトントンしてやると、ほどなく寝入った。こういうのは、保育園効果だな、ありがたし。

DVDライターは、とっても快適。今日撮影した踏切動画も、無事DVDに収録。土曜日に持っていくのが楽しみ。

11月7日

急なコンペ（またかよー）案件が来て、急遽午後から四谷の事務所へ。大体アタマの中では構想はできているのだが、こんな短い時間で、きちんと形にしてもらえるのかな。とにかく移動で無駄に捨ててる時間が多いけど、四谷を起点に帰れれば少し楽。保育室に迎えに行くと、最近では珍しく櫂がおんぶされていた。

病院の航は、手すり伝いに歩けるようになったとかで、リハビリの先生からも、もう歩行器なしでOKの見解をもらったらしい。おしっこならトイレにも自分で行けるようになったんだとか。うれしい。

櫂は、夜の寝付きは良くなったのだが、なぜか二時間くらいで起きてしまってぐずる日が続いている。うーん、困った。

11月5日

DVDは、きちんと病院のプレーヤーでも無事再生できたようで、航も喜んでいるよう。

航の通っていた幼稚園から電話があり、今週の土曜日に、クラスの子達の手紙とか写真とか、担任の先生が我が家に来てくれるとのこと。由紀に連絡すると、航も嬉しそうで、そのあと、プレイルームまでは、手すりを伝って、自分でがんばって歩いて行ったそうだ。

抗がん剤が効いてきて、副作用もそろそろ来るころだが、口内炎なども前回ほどひどくなく、まだ食欲もあるようだ。気分も上向きでリハビリにも頑張って欲しいものだ。

 

櫂。夏にこの状態になってからというもの、寝かしつけにはおんぶが必須だったのだが、今日は食後に膝の上に座らせてテレビを見ていたら、そのままウツラウツラ。寝てしまった。これで私の腰痛も少しは改善するかな。

11月4日

由紀を見送ったあと、朝、櫂を近所で散歩させていると、お向かいの奥さんが走ってきて、宅配便が来てると教えてくれる。一昨日ポチった、DVDライターがもう届いた。謎のプレゼントの贈り主は教えてくれないAmazonだが、まあとにかく何でもかんでも早く届くねぇ。

そそくさと、大げさな梱包をほどき、機械を取り出してケーブルをつなぐ。取説を細かく見るまでもなく、液晶画面に手順が表示され、ファイルを選んで、DVD-Rをいれて、焼き込み開始。ほどなく出来上がったDVDを、恐る恐る、DVDプレイヤーに入れてみる。見事！。モニターには一昨日撮影した踏切がバッチリ映りました。嬉しいなあ。

櫂をおんぶで寝かせて、ほかのファイルのバックアップも開始。容量を勝手に計算してくれて、一枚、30分ほどで出来上がる。どこまでのファイルを落としたかの履歴も残るし、楽チン。こんなことなら、5年前にカメラと一緒に買っておけば良かったよ。

整理ついでに、以前の映像を見てしまうのだが、つまりはほぼ全て航の映像。生まれた直後から最近までの元気な姿に、つい涙が。

明日このDVDを見る航の喜ぶ姿が目に浮かぶ。それにしてもビデオカメラ構えて、じっと踏切撮影しているオヤジって、はたから見ると、変なマニアにしか見えないよなあ。

11月3日

今日は私が面会デー。今の生活の私にとっての一番の楽しみな日だ。

道中、羽倉橋に出る手前で、信号待ちで横に並んだ車が、いきなり左折して巻き込まれそうになり、大声を出して回避。まったく、確認もせず、曲がり始めてからウインカーを出す、あの神経ってのはどうにかならんか。そのまま止めて怒りまくってやらないと気がすまないところなのだが、遅れられない航の指定時間は『10時34分』。ほっといて先を急ぐ。途中、食べたいものリクエストのゼリーやプリンを買いつつ、遅刻せずに病院到着。松井さんに与野近辺の道を細かく教えていただいたおかげで、スムーズに走れるようになりました。

ついてすぐプレイルームで遊んだあと、持参したビデオカメラの液晶を広げて、昨日撮影した踏切を見せると、「これ会社行く前に朝撮ったの？。会社に遅れたんじゃない？」などとニヤニヤ嬉しそう。遮断棒の動き一つ一つに、早速、航の解説が得意げに始まった。

昼ごはんのあと、航が寝入ったので、こちらも待合室に避難して、ソファで横になる。最近、櫂の夜泣きが厳しく、かなり睡眠不足。つい、一時間ほど寝てしまい、3時前にベッドに戻ると、既に起きていた航が、僕の姿がないことに呆然としていた。周囲の子達から「悲しがってたよ」と忠告される。反省。それでもポップコーンが食べたいとか、エビフライが食べたいとか、いつもの「食べたいわがまま」も復活して、気分も持ち直してくれてほっとした。

夕食前には、お母さんにあげるんだと、踏切の絵を仕上げて手渡される。7時半を過ぎて、「帰らなくてもいいの？」とか、しっかりしたことを言う。一度抱きしめて、病院をあとにする。

10月28日

航は由紀と、櫂は僕が一緒に寝る。ここにきて、櫂はまた夜泣きをするのがツラいところだが、しばしの帰宅、航にはしっかり母親に甘えさせてやらないと。

日曜日は朝からうすら寒いはっきりしない天気だが、家族4人揃って食卓を囲む嬉しさ、賑やかさで、我が家は明るい。お隣の雨戸が開いたときに、おばあちゃんにも顔を見せることができた。こちらのおばあちゃんも週明けに手術。航のことをホントに可愛がってくれているので、このタイミングで元気な顔を見せることができてよかった。

 

昨日病院を出る時には、やや体温高めで心配していたが、帰宅後は熱も下がり、航の表情からぎこちなさも消え、家に帰ってきたことが実感できている様子。

 

当然、外には出られないが、食後は、一気に揃ってしまったプラレールを繋げて遊ぶ。櫂が電車を遮っても、怒らずに笑っている。五歳という年齢からくる自覚なのが、長い入院生活で我慢強くなったのか。いずれにしても、成長したなと思う。

 

万が一のために、レンタカーを月曜日まで延長。我が家のガレージは、半地下状態で、スペースギリギリなうえ、前の家主が、タイヤの幅に合わせた溝を掘っているため、少しでもズレると、ホイールを擦る。こちらもペーパーとは言わないが、たまにしか運転しないので、この車庫入れは汗だく。数回切り返してようやく収納。私だって成長するのだ。

昼食は、航のリクエストでピザの宅配。食欲もある。とにかく食べることが大事。

 

航も落ち着いてるし、車の出番はなさそうなのだが、せっかくなので、私独り、買い物に出かける。雨でも出かけられるって、車ってすごいね。航の冬の上着を、このさわぎで買ってやってなかったので、志木のマルイまで、ひとっ走り。ついでに、自分の上着と由紀にもシャツと。帰ってからの車庫入れは、かなりスムーズ♪。数こなせば、少しは上手くなろうってもんだよ。私だって成長するのだ。

 

夕食のあと、由紀が病院で練習したとおり、航のCVの手当てをして注意しながらお風呂。続いて櫂も風呂に入れて、それぞれで就寝。二日間なんて、あっという間だ。航には、また病院に戻って、治療頑張ろうねと話したが、朝になって、戻りたくないと、泣かないだろうか。

10月27日

8時半に予約してあるヴィッツにチャイルドシートを載せて、9時過ぎに家を出発。郊外へ向かう道はやや混んではいたものの、さすがは自動車。10時半には無事到着。

 

病室へ行くと、担当の看護師さんから早々に説明があり、熱も下がり、電解質の数値もよくなり、今日は帰れる！とのこと。すぐに由紀に連絡して、持ちかえるものなど相談して、昼食後、用意していたベビーカーに乗せて（素直に乗れるほど痩せているのが、ちょっと悲しいが）、駐車場まで連れて行き、二ヶ月ぶりの我が家へ。14時に出発して順調に帰ってきたが、航から「踏切見たい」のリクエストに応えて、保谷5号踏切（今、立体交差の工事中：航の一番のお気に入り）と、保谷駅脇の3号踏切をぐるっと回って帰宅。

久しぶりの兄弟の再会に航はニコニコ嬉しそうだし、櫂もいつになく興奮しているよう。何よりも家族4人が揃っている、なにもなければ、ホントになんでもない、この光景が、猛烈に嬉しい。

夕方、偶然、幼稚園バスが一緒だった同じ組の女の子が母親と一緒に訪ねてきて、由紀とママ友話。残念ながら航に直接会えないのだが。運動会の時も、「航くんの席」がきちんと取ってあって、知らない親がそこに座ろうとすると、子どもたちがダメ！と怒っていたとか（涙）。

義母も来てくれて、航は夕食も美味しそうに食べる。夕食後はさすがに疲れたのか、すぐに横になり、綿棒で耳掃除してるうちに寝てしまった。かなり安心したような熟睡ぶり。

とにかく表情が柔らかい。うれしい。

10月26日

由紀のいない夜は、櫂の夜泣きに寝不足気味の金曜日。なぜ、僕とふたりの夜に限って夜泣き。。慌ただしく朝の食事、洗濯を済ませ、保育園。夜入ったメールで午前中に新宿で打ち合わせになったので、会社には向かわず、やや遅めの出発。打ち合わせは11時半を過ぎて長引くものの、月末の雑務も溜まっているので、大急ぎで会社へ戻って片付ける。その後、15時からの打ち合わせに、慌ただしく、またしてもタッチアンドゴー状態。朝の打ち合わせ内容を早々に展開せねばならず、本来入っていた打ち合わせを急遽、引き継いでのめまぐるしさ。しかも、航が帰宅できるかどうかの由紀からの連絡にやきもきしながら。とにかく気が休まらない。

結局、航は白血球の数値は良好であるものの、ほかの数値がＮＧで今日の帰宅は延期。帰宅できた時のために、義母が来てくれていたので、慌ただしい週末の最後に、一息つけて助かりました。

明日は、僕が面会。ただし一時帰宅の可能性が高いので、由紀がレンタカーを予約していて（運転はワタシ）、車でＧＯです。ひさしぶり。連れて帰れるといいな。