栗原だより

10月24日

打ち合わせが長引いて、あたふたと遅刻気味に櫂を引き取って、家に帰ってみると灯りがついている。義母が来ていた。いつもなら由紀が帰ってくるまでの3時間半の間、櫂と二人きり、いくら子どもが可愛いとはいえ、まだまだ会話も成り立たず、気分的には煮詰まることもあるので、こうして食事の面倒を見てもらって、大人と会話ができると気が紛れる。ありがたい。

航は、由紀が持っていったプラレールで黙々とあそんでいるらしい。今は白血球が下がる時期。前回の時よりは格段に落ち着いて過ごしている。

10月23日

今日は櫂をおたふくの予防接種へ。自腹の7000円はきついが。この4週間あとから、今度はポリオやらインフルやら、毎週の注射がつづく。

寒冷前線の通過で全国的に不安定な天気、ということであったが、病院から、保育園までは、どうにか天気が持ってくれて助かった。移動が妨げられるのが一番困るので。

休みをとっているので、自宅パソコンでいくつか仕事のメールをかわしつつ、溜まった疲れを解消するため、昼寝。天気はやはり安定せず、電車が止まったり、いろいろ大変らしい。休みで正解。

10月22日

朝は冷えるようになってきた。こっちが風邪など引かないようにしないと。

いままで、我が家ではあまりたくさんのおもちゃはない方だったが、さすがに退屈する病院生活、なにかないと過ごせない。ゲームなどは本人も関心なさそうなのだが、電車（踏切）好きなところもあって、病院にあるものの中ではプラレールで退屈しのぎとなっている。共有物なので、どうしても、足りない、とか壊れてる、とかの問題もあって、いくつか購入。夜たくさんの箱がとどく。大学の同級生からも、お見舞いが届いた。今回の子とでは、本当にみんなの気持ちが身に染みる。

航はまだ熱。少しお腹の調子も良くないようだ。ま、治療の途中。当初は、白血病なんて何が何だか分からないし、襲ってくる副作用も何が起きるのか分かるはずもなく、一つ一つにうろたえたが、こちらにも慣れてきた。というか、それもこれもあって治療が進んでいる、と思えるようになってきた、と言う方が正しいか。

10月21日

日曜日。

由紀が病院へ出かけた後、櫂とふたり。洗濯物干して、櫂を連れ出して散歩して、早めの昼寝をさせて、その隙に自転車にメーター付けて、昼飯食わせて、昼飯食って、外でまた遊ばせて、買い物行って、晩飯食わせて、晩飯食って（今日も差し入れいただきました）、風呂掃除して、風呂入れて、おんぶして寝かせて、部屋のぞうきん掛けして。

航は、また白血球が減少する時期。熱が出てぐったり寝てるらしい。前回と違って、粘膜がやられてないので、食べることが辛くないことは救いであるが。

明日からまた平常営業。もうすこし、航の顔を見に行きたいなあ。

10月20日

先週病院へ行く途中、志木市役所前を通過中、メーターの数字が安定しないと思ったら、なにかが吹っ飛ぶ音がして、止まって引き返してみたら、フォークに付いていたはずのセンサが落ちていた。よくよく見るともう、プラスチック自体がひび割れていて、考えてみれば（考えなくても）10年以上使ってるものは仕方がない。この一週間、メーターナシで走っていたが、落ち着かないことこの上ない。

櫂はこの数日、ぐっすり朝まで寝てくれていて、添い寝している由紀もかなり助かっている。

さて、私も楽しみな病院の面会。とにかく一週間、待ち遠しくて仕方がない。与野から大宮方面へのルートについて、先日書いたら、さっそくコメントいただいて、そうか、副都心で抜ければいいのかと、早速行ってみると、さすが、こちらの方がいいですね。

航は会うごとに落ち着いていて、表情もすっかり明るくなった。踏切の絵も描くし、部屋から出られない状況にもわがままを言わず、シートを敷いて、プラレール遊びをし、食事もきちんと摂り、話をして、そして笑う。この数日は点滴から解放されていて、ベッドから降ろして抱っこして、にらめっこして、お互い笑っているうちに、泣けてきた。大げさな誇張ナシに、笑顔が輝いている、と思った。

メーターが吹っ飛んだ話をして、大宮の自転車さんでメーターを買いたいと話すと、素直に承諾してくれて、少し早め、7時過ぎに病院を出る。帰り際に、ポータブルDVDにトミカのDVDをセットして、航はおとなしく見送ってくれた。この小児医療センターの入院から二ヶ月。帰りたい、とか、お父さんは来るな、とか、暴れていたのがウソのように、落ち着いている。あきらめた、というよりは確実に成長した、という感じ。帰りの月は大きく見えた。

 

10月19日

朝から立ち寄りで打ち合わせの後、僻地の職場へ行って細かいことを終わらせて、またまた打ち合わせに出て、ぎりぎりの時間で櫂を迎えに走る。15分ほど遅刻して汗。

今日、病院へは、義母も行っていて、航はかなり楽しみにしていたようだ。白血球がまた減少しているので、部屋から出られなくなっているのだが、前回ほどのしんどさはないようで、おとなしく大部屋で過ごしているらしい。

10月18日

ただでさえ、短い勤務時間を、くだらん移動時間にとられ、思うように仕事ができずにイライラが募る。会社にこもって会議が仕事の人たちには一生理解できんだろうな、この虚しさは。

櫂は保育園ですっかりバイバイができるようになり、手を振り過ぎなぐらい、ぶんぶん振っている。保育園内でも先輩風を吹かしているようで。

二ヶ月たって、どうやら疲れが溜まってきているかも知れない。ここにきて仕事もややこしくなってきたし。

ただ、今回の抗がん剤治療は、順調なようで、航には笑顔も多いようで、それだけが救い。

10月17日

休んでいても、ひっきりなしの仕事の電話やメールがあって、体を休めようにも思うように休めない。おまけに昨日は由紀が泊りだったので櫂の添い寝で睡眠不足。今日は朝から立ち寄りでそのまま打ち合わせが二件。こうなると遠く離れた職場まで行くと、タッチアンドゴーで帰る羽目になるので、そのまま直帰。せっかくなので、風邪気味な体を早めに回復させるために医者へ。夕方から予報されていた雨は病院にいる間に現実となり、あっという間に、ジャンジャン降り。しかたなくコンビニで傘買って帰る。家で先に夕食の準備をして櫂を迎えに。
櫂の食欲は旺盛で、一息ついたころに、またお隣からの差し入れ。野菜など少し足りないかなと思っていたところに、ホントに助かります。

この時間に家にいると、NHKのクローズアップ現代をしっかり見てしまえるのだが、今日はIMFのクリスティーヌ・ラガルドが出てきて、日本における女性の職環境について熱く語っていた。聞けば聞くほど男前（こういう表現しかないところが問題なのかも）な女性だ。私の今の状況などからすると、これは女性だけの話ではなくて、とにかく日本の仕事環境すべてに当てはまる話だとつくづく思う。だいたい、18時からの打ち合わせの設定などあり得ないハズなのに、それが当たり前になっているのはなんでだろう。職場は遠いし（埼玉県は通勤時間日本一なのだ）、職場から客先がまた遠いとくれば、一日のうちに移動に割く時間は尋常ではなく、現場をかえりみない管理者オリエンテッドな会議や報告にさらに時間を取られ、そもそも我々は何をやってお金を稼いでいるのか、まったくもって見えなくなっているとしか思えない。効率よく時間を使って仕事を片付けようなどとはだれも考えていないに違いない。なにかあればみんなで集まって悩んでいるフリをし、責任をとるポーズをとり、最終的には、誰かデキル人に頼っておしまいなのだ。管理者なんてお気楽なものだ。
こうして考えると、子育てしながら働いている女性の時間感覚たるや相当なものだと思う。カイシャのおっさんどもは考え直した方がいいと思う。

ま、そんなところで由紀からメール。航はしっかり食べられるようになり、夕方点滴が取れたらしい。今日で二ヶ月。山中さん風にマラソンに例えれば、序盤15km付近で、このレースのペースができてきて、中盤に向けての様子見段階。ペース配分が大切なのはマラソンに限った話でもない。垂れないように気をつけて行こう。

 

10月16日

今日は、櫂の予防接種。こんな状況になってみないと気付かないが、まあとにかく赤ん坊は注射だらけだ。加えて、航の状況もあるので、普通ならしない予防接種までしなくてはいけなくなっているので、今週からは毎週注射なのである。今日のところは、ポリオの二回目。ワタシもついでにインフルエンザの予防接種。

航は病院でリハビリ。筋力が落ちているので、歩くのもままならない状態。少しずつ。リハビリの先生もついてくれているので、しっかりがんばらないと。

10月15日

昨晩は櫂がなかなか寝付かず。

季節の変わり目は、このアトピーと言うやつにはあまりよろしくないようで、大人の私でも肌が乾燥し始めて、ボリボリと体を掻きたくなるような状態は、櫂にとってはもっと痒い状態なのだ。保育室にお世話になってから、規則正しく、よく寝てくれると思ったのは束の間で、またまた不眠になやまされるのかな。

朝、保育室に置いて行くと、最初は「泣く」。それからしばらくして、泣くことはなくなったが、なにか憮然とした表情をしていたが、とうとう今日は、僕に向かってバイバイと手を振った。よしよし。

夕方、またお隣から差し入れをいただいた中に、トーフチャンプルーがあって、櫂は、またしてもその中のゴーヤをほとんど食べてしまった。ヘンな一歳児だとは思うが、ま、野菜をしっかり食べてくれるのはありがたい。

今日15日は親父の79回目の誕生日。かなり弱ってはきたが、どうにか元気に過ごしている。今回の航のことをどのくらい理解しているかはよくわからないが。というわけでもないが、土曜日に撮った航の写真を同封して手紙を出した。子どもはいつまでも親を心配させるものだとはいうが、こんな心配までかけてすまないな、と思う。だれが悪いんじゃないけど。