子供の成長の節目にはいろんなことがある。寝てばかりの赤ん坊が、初めて声を出して笑った時。初めての寝返り。ハイハイし始めた時。つかまり立ちしたとき。歩き始めた時。その瞬間に立ち会えることは親にとっては、何とも言えない嬉しさがあるものだが。さて今日、航が4歳と3週間にして、自転車に乗れてしまった。
2歳半にして、ストライダーに乗り始めそれから1年半、バランスがとれてることはもちろん、親も慌てるような急坂をすごい勢いで下って行くようにはなっていて、あとはもうペダルを漕げばOKじゃないかと思って、実は昨年12月にスペシャの16インチを買って、ペダルをはずした状態で5月あたりからよたよた乗せてはいたのだが。まだ身長が1oocmに満たない彼にとっては大きすぎたようで、足がしっかりつかないのが怖く、ペダルを踏むどころではないらしい。しかも子供用、クランクが短いため、大人が思う以上に踏み出しのトルクが大きいようで、仕方がないので、泣く泣く補助輪を付けて、とにかくペダルを踏む感覚に慣れさせていたこの一週間。
しかし、やっぱりこの補助輪と言うやつはよくない。カーブで、本来内側に体重を傾けて曲がるべきところ、外側の補助輪に荷重をかけて曲がってしまう。せっかくストライダーで身に付いたバランス感覚が台無し。由紀も、これはまずいんじゃない?というので、ある秘策に打って出ることにした。
毎日通勤で通る、保谷の道沿いにあるおうちに、ずっと置きっぱなしのルイガノの子供用自転車。見たところサイズは14インチ。いわゆる、「おしゃれ自転車:ルイガノ」に勝手な拒絶反応で、前述のスペシャに走ってしまっていたのだが、あらためて14インチをいまさら定価で買うわけにもいかず、しかもネットで探してみても14インチでイカしたデザインの幼児用自転車がないので選択肢の筆頭となった次第。探しついでに調べてみれば、このRENNRADというやつ、2005年当時に売られたあと、ブリジストンでも同じデザインで12インチを売っていたようなのだが、ある事情で廃盤になっていて、新規に入手する手段もないことが判明、これはもう、あのお宅を訪問して譲ってもらうしかない、と決心。3日続けてフルフル詐欺の今日、仕事も早々に切り上げて、一駅前の保谷で降りて、件の家に向かう。Hさんというそのお宅、玄関脇のインターホン、奥さんらしき声。
「はい?」「あの、突然で申し訳ありません。外の子供用自転車のことで、お願いと言うか、相談があるのですが。」
「え?。」「もし、不要でしたら、いくらかで譲っていただけないでしょうか?」
とここまで会話して、扉を開けて彼女は出てきた。これこれこうで、実はずっと目を付けていたんです、と話をすると、もう乗ってないし、旦那さんに聞いてみないとわからないが、たぶん大丈夫、との回答♪。では、ご主人帰られて話がついたら連絡ください、と、ケータイの番号のメモを渡して、一旦退散。と、すぐに電話がかかってきて、早々に旦那さんに連絡してOK取れたとのことで、すぐに引き返す。「屋根があるとは言え、ずっと外に置きっぱなしで、こんな汚くてすみませんねぇ」といいながら、乗ってくれるならぜひ、ということで、何度も礼を言って、ありがたく受け取る。子供用とはいえ、7kgの自転車をそこから30分、台風近付く蒸し暑さの中、汗だくで持って帰る。パーツクリーナーを吹きつけてみれば、そこそこにきれいになり、ぺちゃんこだったタイヤも、空気を入れてみればパンクもしておらず、想像以上に程度はよさそう。ふと横を見れば、ヘルメットを被ってスタンバイしている航が嬉しそうに「これなら補助輪なくても乗れるね!」と、根拠のない自信に満ちたセリフ。またがらせてみれば、思った通りサイズはぴったり。サドルを支えて、しばらく押して走らせる。本人なりになにかの感触はつかんだようだが、すぐにストライダーに乗り換えてしまった。ま、時間のある週末にでもまた練習かな、と思っていたところに、櫂を抱いた由紀が様子を見に来た。
じゃ、おかーさんに、乗ってるところ見せようか?というと、すぐにルイガノにまたがって発進。ムリだろうなーと思いつつ、サドルを支えていた手を、こっそり離すと、なんと、すぃーっと、そのまま走って行ってしまった!。まさに「自転車に乗れた瞬間」をふた親ともども、目撃できたのであった。
サッカーの本田とか、別府とか、三歳くらいで自転車乗りまわしてた(いずれも三男坊の負けん気だな)、という話に誘発されて、航もなんとか三歳のうちに!と勝手に意気込んでいたオヤジの気持ちを知ってか知らずか、一か月ほどオーバーしたところですが、やってくれましたよ(涙)。
暗かったので、映像は後日。
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