1円を笑ってはいけないのだ

まったくキックオフ、キックオフって、そんな資料だって自分じゃエクセルもパワーポイントいじれないようなおっさんが、上っ面だけの年度計画なんてぶち上げたって意味ないんだよな、んでもって、もうくだらない質疑応答なんかやるから、時間も押しちゃうし。俺は用があるんだっつーの。大事な大事なデートだよ、もう。今回の相手逃すとそろそろ俺もやばいかなあって。田舎のお袋もうるさいし。そんなことはどうでもいいけど、結局タクシー乗る羽目になったじゃねぇかよ。自腹だよ、バブルのころはこんなのも全部会社に経費でまわしてたっけな。あー、もう運転手も道わかってねぇし。カーナビばっかいじくりまわしても仕方ないっつーの。六本木だよ、六本木。都内流してるくせに六本木くらいまっすぐ行ってくんねぇかな。ミッドタウンだかなんだか知らないけどたくさん乗せてるんじゃねーの？。二谷英明のチンピラボクサー映画のころなんて、六本木なんか町はずれだぜ、まったく。どこがミッドタウンだか。あー運転手さんもうここでいいや。そう、そこ。西麻布の交差点。とまってとまって。はい、え？おつり、いいよもうめんどくさいし。あーまあもらっとくよ、ドア開けて早く。　ちゃりーん、あ、1円落としちゃったよ。いいよ一円くらい。1円に泣くかっつーの。　　　って人がいたかどうかは知りませんが、今日はめでたく朝の西麻布で1円、昼の神谷町でまた1円。　え、タクシーのおつりに1円はないか。