面談の時間は13時。なので病院には12時に着けばいいことになっている。朝イチで耳鼻科に行った櫂を連れて帰宅した由紀と行き違いに、航を乗せ出発。三連休明けの道はそれなりの混み方で、1時間半あまりかかって病院着。由紀の体調のこともあって(家族に胃腸系の症状があるので)、病棟に入ってそのまま個室に隔離されてしまう。すなわち、お泊り決定。プレイルームにも行けないので、DVDで退屈しのぎ。
2月1日のPETで、確認したい影がある、と言われて、先週8日の髄液検査。いったい今日の面談ではどんなことになるのか、不安を抱えつつ、13時に面談室に呼ばれる。主治医、担当医、担当看護士の三名を前に机を挟んで座る。半年前、白血病の診断を聞いたときと同じ部屋、同じ構図。一人で聞いて耐えられる内容だろうか。
穏やかな表情の主治医の先生から開口一番、「おめでとうございます。よく頑張りました。」。強張っていた方から力が抜けていくのが自分でもよくわかる。良かった。 目の前がクラクラする。そのあと、手元のノートにメモしながら、今までの経過の話、今後の生活の話、将来的な注意の話、細かく説明を受け、由紀から託されていた質問と、私自身の質問をしつつ、面談は終了。
まだまだ書き留めておきたい話は山ほどあるが、それは後日。
15時半に、半年間胸に埋まっていたCVを抜く処置をして、身軽になった航を部屋で抱きしめる。 確かに元気にはなったが、骨折などと違って、ギブスが取れたら、とか、リハビリでこれができたら、とか、具体的に目に見える何かがあるわけではないし、見た目でいえば、まだ髪の毛も抜けたまま、なにか実感が湧かない。医者にしてみれば、想定通りの経過だったのかもしれないが、僕自身、年明けからのこの急な展開が理解できていないのかも知れない。しばらくして、抜いたCVを消毒して看護士さんが、CVを入れていた巾着とともに持ってきた。ツールで配っているサコッシュ。ドーピングのミソはついたが、ガンを克服したランスとおぼしき選手がTTバイクで駆け抜けるイラスト部分をを切ってミシンがけして僕がつくった巾着。願いが通じた、と思った。
一気に何かが襲ってきて、頭痛、肩コリが激しい。付き添いようの簡易ベッドを受け取ってすぐ、横になる。
8時前には灯りを消して寝る。航が綿棒での耳掃除をせがむので、掃除(といいつつなでてやるだけ)してるとすぐすーすーと寝息を立てはじめる。「CVがないから、寝る向きを気にしなくていいね」と言っていた言葉通り、こちらに体を向けて。個室の並びからは、子供の泣き声が聞こえてくる。航も最初はこうして泣きわめいていたし、本当に世話が焼けた。綿棒で寝かしつけて、こっそり帰っていたことを、昨日のことのように思い出す。
一時間ほどたったころ、航の泣き声で目が覚める。やっぱりさびしいようだ。ママ、ママと静かに泣いている。ベッドから降ろして、狭い簡易ベッドで添い寝してやっているうちに、泣き疲れて寝た。と思ったら、夜なかに起きて、「ベッドに戻る」。甘ったれで気まぐれな長男だな、まったく。
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