朝、航がごめんなさいと小さな声で謝ってきた。嬉しいような、情けないような。退院前の検査続きで、まだ出もしない検査結果を不安がってイラついている気持ちが伝わってしまった結果かも知れないのに、ホントに情けない。いい歳をして(本当にいい歳だ)すまないのはこちらだ。
ケント紙を引っ張り出してきて、外に出られない航と、工作。ドーナツ状に輪を作って切り込みを入れた30枚ほどをスプリング状につなげる。小学生のころ、流行ったレインボースプリングと言うやつのペーパー版。少しは楽しんでもらえたようで、昨日の罪滅ぼしくらいにはなったかなあ。
節分だ。去年も猫の額ほどの庭に豆まきをしたが、航から豆まきしたい!と言ってきた。歳の数だけ 食べるんだよと、買ってきた豆の袋を開くと、櫂の分はひとつ、僕の分は5つ、と取り分けたところで、「お父さんが46個とると、撒く豆がなくなる!」といって、暫定的に私は二十歳ということにされる。
窓を開けて、ご近所にはばかることなく大声で『鬼は外!福は内!』と豆を撒く。櫂もはしゃぐ。由紀にビデオを撮ってもらいながら、鬼は外、と繰り返す声も力強くなってきた目の前の航の姿に 涙がこみあげてきた。鬼は外!鬼は外!。もうウチには来ないで欲しい。
最近のコメント