九州と目と歯と鼻の先に生まれ育ったワタシが、豚骨ラーメン好きであることは以前にも書いたが、豚骨ラーメンにもいろいろあって、「トンコツ=博多ラーメン」ではない店が首都圏にはままある、ということもその時書いたはず。
ワタシが勤める平和島と言う場所は、芥川賞作品の文中にも「地獄の一丁目」と揶揄されるほど、さびれたところで、競艇場的に立ち食いそば系統はそこそこあるのだが、当然オフィス街ではないので、飲食店もその数、バリエーションともに乏しい(特にわが社のある海側)。
ところが最近、その一角にラーメン屋が一軒できた。その場所は以前から、店ができては消え、できては消えしている場所で、直近で営業していた蕎麦屋も半年持たずに、このラーメン屋に差し替わった次第。さてできたラーメン屋なのだが、「こくまろ」なる暖簾を出してはいるものの、こちらとしては、「何系」のラーメンか把握できない限り、入る気にはならない。私にとって何の魅力もないいわゆる東京の醤油ラーメン、中華そばなのか、家系と銘打ったような太麺のしつこいやつなのか、店の外にわかるようにしてくれないと困るのである。おそらくはワタシと同じ気持ちの輩は多いはずで、このままではまたまた半年持たずに閉店の憂き目に会うに違いない。いや待てよ、このワールドワイドウェブな時代、ぐーぐるぐるぐるなこの時代、一発検索してみれば少しは情報がつかめるんじゃろう、と調べてみれば、あったよありましたよ、ホントにラーメン好きな奴ってのは、バカと言うかなんというか(本心からの「バカ」じゃないですよ)、こんな辺境の地にできて一カ月にも満たないこの店も、しっかりレビューが出てました。なんと私にとってはうれしい「博多でも屋台の人気の正統派の博多ラーメン」なんだと。こりゃ行くしかアルミニューム、じゃなかった、あるまいと、入ってみれば、スタンダードな「ラーメン」は580円と、これぞ「博多ラーメン」な価格設定に期待も膨らむ。店員はバイト任せではなく、きちんとしたジャパニーズのお兄ちゃん。テーブルの上には、当然紅ショウガのツボ、生のニンニクとそれを潰すやっとこ状の道具に、辛子高菜のつけもののツボ。替え玉が150円と、なぜか高めの設定なのは御愛嬌として、出てきたラーメンは、博多天神風の、臭みのない、決して脂ギッシュでない、それでいて味はしっかりした、ワタシ的にはほぼ100点のナイスな逸品。会社の近くでこんなラーメンが食べられるとは幸せなことだ、と思いつつも気になることが一つ。
さほど広くない店内(10人入ればいっぱいか?)の、お昼時というのに、席は半分も埋まっていないのであった。一本表に出て環七沿いには「さつまっこ」なる大したトンコツでもないくせに繁盛している店もあるというのに、ホントにここは場所が悪いのか、前述の通り、店先のアピールが少ないのか。なんとか潰れないで頑張ってほしいので、会社でも周囲に大宣伝しては見たものの、ここは平和島。一年もつのか心配です。皆様も平和島にお越しの際はぜひ。って来ないか。
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