昨晩になって、航から、やっぱり明日はおかーさんも来て欲しい、と泣きがはいったようで、ひとまず朝は予定通り僕が病院へ。由紀の定期を借りての電車内、カネシロさんが読めと薦める、重松清の「とんび」の文庫本を開く。たしかNHKで去年ドラマ化して、今またなぜかTBSでやってるやつ。まあ、ありがちな、三丁目の夕日的な、高度成長万歳、昭和回顧趣味の小説だろう、とハスに構えていて、あまり読む気も見る気もしてなかったのだが。これがまあ、わかってはいるんだが、設定年代も自分とかぶるし、設定地方も広島、でてくる台詞の方言も、比較的自分の出身と近いせいもあり、なおかつ私の今の状況からして、感情移入も甚だしい。これはやばい。車内の人目を気にしつつ、確かポケットに入れていた駅前で配っていたティッシュをまさぐりながら読み進める羽目になってしまった。
病院につくと、オレンジカード(病室から出られない)の航は、自分のベッド脇にプラレールを広げて遊んでいた。レッドアローを渡すと、喜んで、スグに走らせる。とても嬉しそうにはしているのだが、副作用でだるいからだと、粘膜障害の口の痛みに、普段のはしゃぐ姿は無い。しばらくすると遊ぶのもやめて、僕のひざの上に乗ってきて、抱っこされてじっとしていた。抱きしめた体は、一時期の痩せ細ったそれではなく、尻の辺りにもふっくらと肉付きが戻ってきていて、回復ぶりが伝わってくる。
さて、由紀は櫂を練馬の実家に預けて1時前に到着予定。一時間に一本しかないバスの到着を待って、自転車の鍵などを受け渡して交代。航の面会は三時間足らずの短い時間だったが、仕方ない。蓮田からダイレクトに湘南新宿ラインで、池袋乗り換えの西武線。14時半には実家へ到着。櫂は気持ちよさそうに寝ていて、義父も、「櫂はおとなしくていいなあ」と、久しぶりに顔を見られて嬉しそうだ。帰りの電車で「とんび」読了。やばいねー。
今日も結局櫂を抱っこして雪の残る道を歩いて疲れた。治りかけてきた顎関節症も、肩こりからぶり返しそうな勢い。つらいねー。
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